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2007年6月 8日 (金)

調理の技~焼く

 本来動物は火を恐れるものだ。 古代は火山の噴火や隕石の落下によって生じた火災が、生物としての生命の危険に遭遇するという信号を遺伝子として受け継いでいるからだ。
 だがヒトは焼け残った動物の肉を食した時に、その旨み成分の変化と鼻腔をくすぐる芳香に新しい喜びを学んだと言われている。 おまけに生では摂取不可能だった鮮度劣化食材も見事によみがえり、一石二鳥の文明を手に入れた。

 栄養成分の変化もサルからヒトへの進化に大いに役立った。 ヒトはすぐに火をコントロールする技術を習得し、先ずは食材を焼いて食べるということから料理の歴史は始まる。 単純に炙る調理から香辛料や調味料の使用といった高度な文明も間もなく芽生える。

 現代社会において“焼く”という行為は最も原点に近い調理方法だが、テクノロジーの発達で容易にその長所を生かした食事ができるようになった。
 串や網といった直火調理から金属やセラミクスを介した間接加熱まであらゆる方法が一般的に行われているが、外食産業など大量調理の必要な企業では大型のコンベクション・オーヴンといった加熱方法を複合処理できる器具が扱われ、従来の単純な調理過程では生み出し得ない新たな味の創出に成功している。

 筆者もこのコンベクション・オーヴン、導入を検討しているのであるが、小型のものでも価格は自動車並みだ。 仕方なしにイタリア製の電気式コンベクション・レンジで我慢している。 とはいうものの、その小型レンジもどうしてどうして結構な活躍ぶりだ。 付属のストーン・プレートなどピッツァを焼くときには必要不可欠な存在であり、簡単に石窯焼に近い状態が再現可能でもうこれなしでは考えられないほどだ。

 家庭用の加熱調理器具として電子レンジは必要不可欠な存在になったが、近年は多機能化し一台で何役もこなすマルチな才能を発揮している。 だがどの機能も中途半端で調理の本道を満足させるものはない。
 日本人もそろそろそのあたりに気付いて、電子レンジは解凍と補助加熱のための単機能機器である認識を持つべきだろう。 一番安価な電子レンジにコンベクション・レンジと蒸し器の組み合わせが、はるかに美味しい料理が可能で、なおかつ経済的にも負担が小さいからだ。 

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