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2007年6月 9日 (土)

調理の技~蒸す

 焼くことの次に出来たのが“蒸す”技術だ。 焼け残った薪の下から出てきた食材、手にすると柔らかく焦げてもいない。 口にしてみれば今まで経験したことのない旨さがあるではないか。
 いわば蒸し焼きなのであるが、これが蒸す料理の原点だと言われている。 次第に植物の葉でくるんで焚火の近くで加熱したり、焼けた石を使った蒸しものが広く行われるようになる。

 熱源から離して加熱するこの技術は、食材自身が持つ水分に依存する場合と、外部から水蒸気などを供給して行う場合の二つに分けられる。
 前者はその加熱プロセス上焼く状態に近く、鯛の浜焼などが塩に包んで蒸し焼にする料理の代表的な例である。 
 一方シュウマイなどの料理は高温の蒸気を直接食材にあて加熱する調理方法で、一般的には“蒸す”と云えばこちらを指す。

 面白いのは私たちが日ごろ茹でたり焼いたりといったコトバで表現している料理であっても、加熱プロセスにおいては蒸しているものも少なくない。
 栗の実は生では食用にならないが、焼いたり茹でたりしてそのデンプン質を糖化させ食用にする。 皮を剥いてしまわない限り、皮に固く包まれた内部の実を蒸す状態になっている。 もちろん焼けた皮の香ばしさなどが食味に大きく影響を与えるのだが、内部の水分に依存している点は変わらない。

 この部分をきっちり理解し識別できるようになると料理の幅は格段に増加し、また新たな食味の創出が可能になる。 高名なシェフや和洋中の料理研究家の作品は、こうした部分の高度な応用によるものが多く、大いに参考にされたい。

 蒸気を当てて加熱する方法も、食材の持つアクを上手にコントロールできる点、そしてソフトな食感を容易に実現できる手段として良く知られているが、ヒトの体に無用な成分を効率よく排出してくれる調理方法としてもっと注目されても然るべきであるかと思う。

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